昭和ポルノ劇場 蜜に濡れる女

広木監督独特のライト感覚が遺憾なく発揮されたラブストーリー。女性を中心に、その周囲を多様な登場人物が交錯したり、時間軸がズレるエピソードが挿入されたり、群像劇の様相を呈する。詩的なセリフまわしと空想的な映像、決して泣かない物憂げな女の表情が切ない。 【ストーリー】 女-H雑誌のモデル。「職業は女。肉体なんてたいした事ない。それよりも心を覗き見される方が恥ずかしい…」と言い切る彼女の事が気になる、編集者・カズオ。女は、カメラマン・イシバシの恋人だが、イシバシはいろんな女性に手を出す遊び人。新しいモデルのえっちゃんも彼の餌食。女は、悲しい想いとカズオの気持ちをはぐらかすように、刹那的な温もりを求めて、バーで会った見知らぬ男に声をかける…。男-売れない劇団員。友人は演劇を諦め、テレビのオーディションを受けると言う。理想と現実の狭間で男はイイラがつのる。そんな男の恋人・ミキは、はっきりしない男に愛想をつかし、お見合いをする。そして、男への想いを振り切るように相手と寝てしまう。---モデルの女と劇団員の男。一夜だけの恋物語。お互い名乗る必要も、想い出として心に残しておく必要もない一夜・・・。朝を迎え、2人は何事もなかったように猥雑な日常へと戻っていく・・・。